私たちが“ハーブスイーツ”に込めた想い
〜花や葉が、お菓子に変わる〜
ハーブを使ったスイーツ、と聞くと
「なんだかおしゃれで特別なもの」と思われるかもしれません。
けれど私たちにとってのハーブスイーツは、
もっと日常の中にある、素朴で静かなごちそうです。
見た目の華やかさだけではなく、
素材の背後にある“自然のちから”をお菓子にのせて届ける。
その営みこそが、私たちがこの道を歩み続けている理由です。
私はもともとハーブに興味を持っていたわけではなく、ただただ仕事に追われる日々を過ごしていました。
仕事はとても刺激的で達成感はあるけど、だんだんと癒やしきれない疲労感により、身体は少しずつ悲鳴をあげ始めていました。
そんな折、息子の妊娠をきっかけに自然農やハーブの世界に触れることになりました。
ハーブティーを楽しみ、土を触り、季節の巡りを肌で感じ、植物の生命力に寄り添うように暮らす日々。
ハーブは、ただの香りや彩りではありませんでした。
心を落ち着かせ、身体を整えてくれる、とても優しい存在でした。
お菓子が、ちいさな“くすり”になる
私は、今は教室講師を主な仕事にしていますが、もともとは20年以上お菓子に関わってきたパティシエールです。
けれど、ハーブに出会ってからというもの、
お菓子の役割が少しずつ変わっていきました。
ただ甘くておいしいものを届けるのではなく、
「食べることで心と身体が整う」ものにしたい。
ラベンダーで心をほどく。
ローズマリーで意志を立て直す。
レモンバームで、眠りにつく前の静けさを整える。
そんなふうに、
お菓子がほんの少しだけ、暮らしの役に立つことができたなら。
それは、パティシエールとしてとても幸せなことです。
ハーブは“自分を取り戻す”きっかけになる
講座の中では、
スイーツの作り方や材料の知識だけでなく、
ハーブの香りや役割についても丁寧にお伝えしています。
というのも、ハーブの香りには、
「私って、こんな香りが好きだったんだ」
「この香り、なんだか気力が出そう」
そんな“自分に還る力”があると感じているからです。
誰かに合わせるのではなく、
自分が心地よいと感じる香りを選ぶ。
その行為そのものが、
自分を大切にする練習になるのだと思います。
美味しさ以上のものを、届けたい
私たちは、ハーブスイーツを広めたいという気持ちの他に、ハーブスイーツという表現を通して、その人自身が自分と出会い直すきっかけになればいいな、と願っています。
特別な技術や道具がなくてもいい。
見栄えの良さを競う必要もない。
ただ、「自分のために、やってみたい」
その気持ちさえあれば、十分です。
植物と向き合いながら、手を動かすうちに、
日々の慌ただしさや、誰かの価値観から、
少しずつ自由になっていく。
そんな講座でありたいと、心から願っています。
白水亜樹