爽風をまとう、レモンタイムとぶどうのカトルカール
お皿が運ばれてきた瞬間、まず鼻をくすぐるのは、甘い焼き菓子の香りを追いかけるように立ち上がるレモンタイムの清涼なアロマ。
それはまるで、初夏の庭の空気をごちそうに昇華させたかのような、清々しくも華やかな香りです。
フランス語で「四分の四」を意味するカトルカール。
バター、卵、砂糖、小麦粉を同量ずつ贅沢に使った黄金比の生地には、細かく刻んだレモンタイムの葉がたっぷりと練り込まれています。
しっとりと密度の高い生地を口に運べば、バターの芳醇なコクとともに、弾けるようなシトラスの風味が鼻から抜け、重厚なパウンドケーキに驚くほど軽やかな躍動感を与えています。
主役のトッピングには、一粒一粒丁寧に皮をむいた大粒のぶどうを。
オーブンの熱を帯びたぶどうは、焼き上げることでその甘みがギュッと凝縮され、まるで天然のコンフィチュールのよう。
とろりととろける果肉から溢れ出すジューシーな果汁が、ハーブ香る生地にゆっくりと染み込み、えもいわれぬハーモニーを奏でます。
黄金色に焼き上がった生地の香ばしさと、ぶどうの滴るような瑞々しさ。
そこに重なるレモンタイムの気品ある苦味と爽快感。
一口ごとに表情を変えるこのカトルカールは、まさに**「摘みたて」という最高のスパイス**が効いた、作り手だけが知る特別な午後の贅沢です。
温かい紅茶を淹れて、ハーブと果実が織りなすマリアージュを、ゆっくりと五感でお楽しみください。
詳しいレシピなどは、日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』のホームページへどうぞ。