ハーブスイーツとは、どんなお菓子なのでしょうか。
この問いは、とてもシンプルに見えて、
実は少しだけ、答えにくい問いでもあります。
ハーブを使ったお菓子。
そう言ってしまえば、それで終わるのかもしれません。
けれども、実際に作ったり、味わったりしてみると、
それだけでは言い切れない何かが、そこにあるように感じられます。
たとえば、
同じ焼き菓子でも、ハーブが入るだけで、
どこか印象が変わります。
甘さの感じ方が、少しやわらかくなったり。
余韻が、ほんの少し長く続いたり。
食べ終えたあとに、
ふと呼吸が深くなるような感覚があったり。
それは、味そのものというよりも、
「香り」がもたらしている変化なのかもしれません。
ハーブは、強く主張する素材ではありません。
砂糖やバターのように、
分かりやすくお菓子の中心に立つ存在ではなく、
どちらかといえば、
そっと寄り添うように、全体の印象を整えていく存在です。
だからこそ、
ハーブスイーツという言葉もまた、
はっきりと輪郭を持たないまま、静かに広がっていきます。
定義しようとすればできるけれど、
定義しきってしまうと、どこか違ってしまう。
そんな不思議な位置にあるお菓子です。
もともとハーブは、
薬草として使われてきた歴史を持ちながら、
同時に、香りを楽しむ文化の中でも育ってきました。
その流れの中で、
「食べる」というかたちでも楽しまれるようになり、
お菓子の中へと、自然に溶け込んでいったのだと思います。
ですので、ハーブスイーツは、
何か新しいジャンルとして突然生まれたものではなく、
暮らしの中にあった感覚が、
少しずつ形になっていったもの、とも言えるかもしれません。
庭に咲くハーブを摘んで、
お茶にしたり、料理に添えたりするように、
その延長線の中で、
お菓子にも少しだけ加えてみる。
そうした、ささやかな工夫の積み重ねが、
ハーブスイーツというかたちを作ってきたのではないでしょうか。
また、ハーブスイーツを考えるとき、
「味」だけでは少し足りないようにも感じられます。
もちろん、美味しさは大切です。
けれども、それと同じくらい、
あるいはそれ以上に、
香りや余韻、
そしてそのときに流れている時間そのものが、
ひとつの魅力になっているようにも思えます。
焼き上がりを待つあいだの、やわらかな香り。
オーブンから取り出したときの、ほのかな余熱。
手に取ったときの、まだ少し残る温もり。
そうしたひとつひとつが重なって、
「ハーブスイーツを味わう」という体験になっていきます。
だからこそ、ハーブスイーツは、
単なるお菓子というよりも、
“時間や空気ごと楽しむもの”
と捉えることもできるのかもしれません。
忙しい日々の中で、
ほんの少しだけ立ち止まる時間。
深く息を吸って、ゆっくりと味わう時間。
ハーブスイーツには、
そうした時間を、そっと差し出してくれるようなところがあります。
はっきりとした答えを持たないまま、
でも確かに感じられるものがある。
それが、ハーブスイーツという存在なのかもしれません。
もし、「これはどういうお菓子なのだろう」と感じたときは、
無理に言葉で捉えようとしなくても大丈夫です。
ただ、香りを感じて、
そのときの自分の感覚に少しだけ意識を向けてみる。
それだけでも、
ハーブスイーツの世界は、ゆっくりと開いていくように思います。
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https://www.herbsweets-japan.com/blog/173534/