お菓子作りは、自分にやさしくなる練習なのかもしれません

2026年07月20日 08:48
日本ハーブスイーツ協会

長いこと厨房や教室でお菓子を作り、お客様とお話ししてきました。

その中で、何度も耳にした言葉があります。

「また失敗してしまいました。」

その言葉を聞くたびに、私は少し不思議な気持ちになります。

なぜなら、お菓子作りではご自身に厳しい方が、とても多いからです。

少し焼き色が濃かった。

思ったより膨らまなかった。

それだけで、

「私は向いていません。」

とおっしゃる方も少なくありません。

でも、私はその姿を見続けてきて思うことがあります。

〜お菓子は、毎回満点ではありません〜

どれだけ長く作っていても、

「今日は思ったより焼き色がついたな。」

と思う日はあります。

季節も違います。

湿度も違います。

材料も少しずつ違います。

だから、毎回同じになるほうが不思議なのかもしれません。

〜自分だけは、自分の味方でいてほしい〜

失敗したときほど、

「今日はここまでできた。」

そう思っていただけたら嬉しいのです。

昨日より少し落ち着いて混ぜられた。

前より香りを楽しめた。

そういう小さな変化も、立派な前進です。

お客様を見ていて感じるのは、長く続く方ほど、ご自身を責めすぎないということでした。

台所は、急がなくてもいい場所です

仕事には締め切りがあります。

生活には予定があります。

でも、台所では少しだけ時計を忘れてもいいのではないでしょうか。

粉を量る。

生地を混ぜる。

焼き上がる香りを待つ。

その時間だけは、自分を急かさない。

私は、その時間がとても好きです。

〜ハーブは、「そのままでいい」と教えてくれます〜

ハーブを育てていると、同じように育つ株はありません。

香りも違います。

葉の形も違います。

でも、それぞれに個性があります。

私は、その姿を見るたびに、人も同じなのだと思います。

誰かと同じでなくてもいい。

自分らしい香りがあれば、それで十分なのだと。

〜お客様から教えていただいた笑顔〜

ある日、お客様が笑いながら、

「前は失敗すると落ち込んでいました。でも今は、それも笑い話になるんです。」

と話してくださいました。

その笑顔を見たとき、私はとても嬉しくなりました。

お菓子作りが上手になっただけではありません。

ご自身との付き合い方も、少しやさしくなっていたからです。

〜30年経った今の私の願い〜

お菓子を作り続けてきて思うことがあります。

お菓子作りは、おいしいものを作る趣味です。

でも、それだけではありません。

焦る日があってもいい。

失敗する日があってもいい。

そんな自分を受け入れながら、もう一度台所へ立てること。

それも、お菓子作りが教えてくれる大切なことなのだと思います。

だから今日も、完璧を目指さなくても大丈夫です。

焼きたての香りを楽しみながら、ご自身にも少しやさしくなれる一日になれば、それだけで十分ではないでしょうか。

そして、その穏やかな変化こそが、お菓子作りの一番美しい贈り物なのだと思っています。


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